EC-CUBE 制作会社に渡すSEO・AI検索の要件書

EC-CUBEで新しいサイトを制作会社に頼むとき、「SEOも考慮してほしい」と伝えて「対応します」と返ってくることがあります。ただし、その一言に何が含まれるのかは、依頼した側からは見えません。
制作会社にとってSEOは範囲があいまいな言葉で、titleを設定できる状態にしただけで「対応済み」になることもあります。そこで役に立つのが要件書です。項目ごとに「何を」「どこに」「どう確認するか」を書いておけば、見積もりに入っているかがはっきりします。納品のときも、同じ表で検収できます。
この記事では、URL・メタデータ・構造化データ・サイトマップ・速度・ボット対応の6領域の要件を、そのまま渡せる表にまとめます。サイトマップは、検索エンジンに渡すページのURL一覧です。
結論: 6領域×具体項目の要件書を構築前に渡し、納品時に同じ表で検収する
領域 | 要件の数 | 検収の道具 |
|---|---|---|
URL | 5 | ブラウザ、Search Console |
メタデータ | 5 | ページのソース |
構造化データ | 5 | リッチリザルトテスト |
サイトマップ | 4 | サイトマップのURL、Search Console |
速度 | 3 | PageSpeed Insights |
ボット対応 | 4 | robots.txt、サーバーログ |

重要な考え方: 要件書は、制作会社を疑うために書くものではありません。何が含まれるかを双方で合意するための紙です。注文書に「ラッピング」と書いていなければラッピングは付いてこないのと同じで、書かれていないものは含まれない、が前提です。「対応します」の中身を項目にして書き出すところから始めます。
領域1: URL
項目 | 要件 | 検収 |
|---|---|---|
商品URL | 商品IDのみでなく、意味のある文字列を含められる(または商品IDで統一し、変えない) | 商品ページのURLを確認 |
カテゴリURL | 階層を反映。カテゴリ変更時のリダイレクトを管理画面で設定できる | カテゴリページのURL、リダイレクト設定の有無 |
パラメータ | 並び替え・表示件数のパラメータ付きURLはcanonicalで元URLに統合 | パラメータ付きURLのソースでcanonical確認 |
末尾スラッシュ・大文字小文字 | 統一し、片方はリダイレクト | 両方を開いて確認 |
リダイレクト | 旧サイトからの移行なら、旧URL → 新URLの対応表をもとに301を設定 | 対応表からサンプル確認 |
領域2: メタデータ
項目 | 要件 | 検収 |
|---|---|---|
title | ページ種別ごとにテンプレートがあり、商品・カテゴリごとに個別上書きできる | ソースで確認 |
meta description | 同上 | ソースで確認 |
canonical | 全ページで自己参照。パラメータ付きは元URL | ソースで確認 |
OGP | 商品画像・商品名・説明が出る | ソースで確認 |
noindex | 管理画面からページ単位で設定できる。検索結果・マイページ・カートはnoindex | ソースで確認 |
領域3: 構造化データ
項目 | 要件 | 検収 |
|---|---|---|
Product | 商品ページで、名前・画像・価格・在庫・ブランドを出力。値は商品データから動的に | リッチリザルトテスト |
BreadcrumbList | 商品・カテゴリページで、パンくずの表示と一致 | リッチリザルトテスト |
Organization | トップページのみ | リッチリザルトテスト |
Article | ユーザー定義ページ(コンテンツ)で出力可能 | リッチリザルトテスト |
二重出力の禁止 | プラグインとテンプレートで同じ型を二重に出さない | ソースで |
領域4: サイトマップ
項目 | 要件 | 検収 |
|---|---|---|
生成 | XMLサイトマップを自動生成(プラグインまたは自作)。EC-CUBE 4は標準にないため明記 | サイトマップのURLを開く |
範囲 | 商品・カテゴリ・ユーザー定義ページを含む。非公開・販売終了は除外 | 中身を確認 |
lastmod | 商品の更新日時を反映 | 中身を確認 |
登録 | robots.txtにSitemap行。Search Consoleに登録 | robots.txt、Search Console |
領域5: 速度
項目 | 要件 | 検収 |
|---|---|---|
Core Web Vitals | 主力商品ページでLCP 2.5秒以内、CLS 0.1以下、INP 200ms以下 | PageSpeed Insights |
画像 | 次世代形式(WebP等)対応、サイズ指定、遅延読み込み | PageSpeed Insights |
キャッシュ | ページキャッシュまたはCDNの設定。キャッシュがcanonicalやhreflangを壊さないこと | ソースで確認 |

領域6: ボット対応
項目 | 要件 | 検収 |
|---|---|---|
robots.txt | 管理画面・カート・マイページをDisallow。商品・カテゴリ・コンテンツはAllow。AIクローラー(GPTBot等)の扱いを方針として決めて記載 | robots.txtを開く |
JavaScript依存 | 商品名・価格・説明・構造化データはJavaScriptなしでHTMLに含まれる | JavaScriptを無効にして表示 |
WAF・アクセス制限 | 検索エンジンとAIクローラーをブロックしない設定。ブロックする場合は方針を明記 | サーバーログでボットの応答コード |
ログ | ボットのアクセスログを保存し、取得できる | ログの提供方法を確認 |

要件書に添えたい一文
「上記の各項目は、納品時に右列の方法で検収します。対応しない項目がある場合は、見積もり段階で明記してください」。この一文を要件書の末尾に添えるだけで、あいまいな「対応します」を防げます。買い物の前に返品条件を確認しておくのと同じ役割です。
納品したあとの要件
要件書で担保できるのは、納品時の状態までです。その後にプラグインを追加し、本体をアップデートし、キャンペーンページを増やすたびに、要件書どおりの状態は崩れていきます。店の棚を整えても、商品を足すたびに並びが乱れるのと同じです。制作会社との保守契約に「SEO要件の維持」が入っているかも確認してください。
Search OSは、EC-CUBEなど制作会社が構築したサイトを対象に、この要件書の6領域にあたる状態を継続的に検証します。納品時から崩れた項目は、修正対象として整理します。制作会社の作業を置き換えるものではありません。納品後に誰が見続けるのかは、要件書とは別に決めておきます。
よくある質問
要件書を渡したら見積もりが上がりました
上がるのが正常です。「SEOも考慮」で見積もられていた場合、入っていなかった項目が見えるようになっただけです。優先度の低い項目を削って、金額を調整してください。
制作会社が「EC-CUBEの標準機能で対応できない」と言います
EC-CUBEはテンプレートとプラグインで拡張できるため、多くは対応可能です。対応できない理由を具体的に聞き、代わりの案を出してもらいます。
保守契約にSEOの維持は含まれますか
契約によります。含まれていなければ、要件書の検収列を使って、四半期に1回自分で確認します。
あわせて読みたい
参考資料
Google Search Central: SEO Starter Guide
Google Search Central: Ecommerce best practices
Google Search Central: Overview of Google crawlers and fetchers
Google Search Central: Understanding Core Web Vitals and Google search results