EC-CUBE 2系→4系移行で失われるSEO資産

EC-CUBE 2系で10年運営してきたサイトを4系に移行したところ、検索順位が広く落ちたという相談があります。
2系から4系への移行は、バージョンアップではなくサイト移転です。URL構造が変わり、テンプレートも作り直しになります。2系で使っていたプラグインやカスタマイズは、4系では動きません。10年分の評価は旧URLにたまっているため、新URLへ引き継がなければ失われます。
この記事では、移行で失われやすい4つの資産(URL・メタデータ・構造化データ・サイトマップ)と、それぞれの引き継ぎ手順、移行後に確認する指標を整理します。サイトマップは、検索エンジンに渡すページのURL一覧です。
結論: 移行を「サイト移転」として扱い、4資産の引き継ぎ表を作ってから切り替える
資産 | 2系 | 4系 | 引き継ぎ方法 |
|---|---|---|---|
URL | パラメータ形式(product_id= 等) | パス形式 | 旧URL → 新URLの対応表と301リダイレクト |
メタデータ | 2系の商品データ・テンプレート | 4系の商品データ・テンプレート | データ移行時にtitle・descriptionを含める。テンプレートで出力を再実装 |
構造化データ | カスタマイズまたはプラグイン | 再実装が必要 | 2系で出していた型を記録し、4系のテンプレートまたはプラグインで再現 |
サイトマップ | 標準機能あり | 標準機能なし | プラグインまたは自作で用意 |

重要な考え方: 同じEC-CUBEだから引き継がれるものは、商品データだけです。検索エンジンから見たサイトはURLとHTMLの集合で、それはすべて作り直されます。引き継ぎ表ができるまで、切り替えは待ちます。
資産1: URL
2系と4系では、商品・カテゴリのURL形式が異なります。実際の形式は、自分のサイトで確認します。2系でmod_rewriteを入れていた場合は、さらに違います。
引き継ぎ手順:
2系の全URL(商品・カテゴリ・特集・お知らせ)を一覧化する
Search Consoleで検索流入・被リンクのあるURLを特定し、優先度を付ける
4系の新URLと1対1で対応表を作る
4系側で301リダイレクトを設定する(Webサーバーの設定、またはリダイレクト管理の仕組み)
切り替え後、対応表からサンプルを開いて確認する
パラメータ形式の旧URLをリダイレクトするには、Webサーバーの設定で、パラメータを条件にした書き換えが要ります。制作会社に任せる場合は、対応表を渡して設定を依頼します。
資産2: メタデータ
項目 | 失われ方 | 引き継ぎ |
|---|---|---|
商品のtitle・description | データ移行で対象に含めないと消える | 移行データの項目に含める。4系側で対応する項目を確認 |
カテゴリのtitle・description | 同上 | 同上 |
特集・お知らせのメタ | 4系ではユーザー定義ページとして再作成 | 手作業で再設定 |
テンプレートのtitle生成ルール | 2系のテンプレートは4系で使えない | 4系のテンプレートで同じルールを再実装 |
移行前に、2系の主力ページのtitle・descriptionをクローラーツールで取得しておきます。移行後に同じページで比べられるよう、取得結果を残します。
資産3: 構造化データ
2系で構造化データを出していたなら、それはカスタマイズかプラグインです。どちらも4系では動きません。移行先で作り直す前提で計画します。
移行前に、2系の商品・カテゴリ・トップをリッチリザルトテストにかけ、検出される型を記録する
4系のテンプレートまたはプラグインで、同じ型を出力する
移行後、同じページで再検証し、型と値が一致するか確認する
2系で構造化データを出していなかったなら、移行は追加の好機です。Product・BreadcrumbList・Organizationを4系で新たに出します。
資産4: サイトマップ
2系には標準のサイトマップ機能がありましたが、4系にはありません。移行後、サイトマップがない状態のサイトは珍しくありません。プラグインまたは自作で用意し、Search Consoleに登録し直します。旧サイトマップのURLが変わるなら、Search Consoleで旧を削除し、新しいものを登録します。
移行の前後で見る指標
時期 | 指標 | 正常な状態 |
|---|---|---|
移行前 | 検索流入のあるURL数、主力ページの順位、構造化データの型 | 記録しておく |
移行1週間後 | 404、リダイレクトエラー | 旧URLの404がほぼない |
移行1週間後 | 主力ページのURL検査 | 新URLが索引済み、canonicalが新URL |
移行1か月後 | サイトマップの検出数 | 商品数と近い |
移行1〜3か月後 | 検索流入 | 移行前の水準に戻る |

移行が終わったあとも、穴は出てきます
移行が完了しても、リダイレクトの漏れ、再実装した構造化データのずれ、サイトマップの生成停止は、後から見つかります。特に4系は、プラグインと本体のアップデートが続きます。移行時に整えた状態が、数か月で変わります。
Search OSは、EC-CUBEを含む移行後のサイトに対して、404・リダイレクト・canonical・構造化データ・サイトマップの状態を継続的に確認します。ボットが取得している旧URLと新URLの対応、移行で失われたメタデータを、修正対象に整理します。移行の作業そのものを置き換えるものではなく、移行後に見落とされた穴を見つけ続ける層です。
よくある質問
2系のURLをそのまま4系で使えますか
Webサーバーの書き換えで旧URL形式を維持することは、技術的には可能です。ただし4系の標準から外れ、保守が難しくなります。新URLに移行し、リダイレクトで引き継ぐのが一般的です。
移行と同時にドメインも変えたい
同時に変えると、原因の切り分けが難しくなります。バージョン移行を先に行い、安定してからドメインを変えます。
2系のまま運用を続ける選択肢は
2系は公式サポートが終了しています。セキュリティの観点では、そのまま続けることを勧められません。移行は必要で、問題はそのやり方です。
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参考資料
Google Search Central: Site moves with URL changes
Google Search Central: Redirects and Google Search
EC-CUBE: EC-CUBE 4 開発ドキュメント